光寿司@新橋

光寿司外観

ランチの握り(500円)

ランチの握りセット(1.5人前900円)

美食家として挙げられる方は多いと思いますが、大多数の人間が思いつくうちの一人は北大路魯山人でしょう。実際にどの料理が魯山人の創作かなど、細かい話になってくると具体的なものがなかったりあいまいな部分があるようですが、作陶や食の分野で卓越した功績を残したのは間違いない所かと思います。

魯山人は既存の料理屋や料理を否定、批判することが多く結果的に自分で美食倶楽部や星岡茶寮を作ったことで有名ですが、すべてに関して否定的であったわけではありません、むしろ一部の(職人と言ったほうが良いのかもしれませんが) 料理人の能力は買っていました。特にお気に入りで頻繁に褒めていた寿司職人の一人が今回のお店のご主人、矢沢貢さんです。魯山人のエッセイなどには“矢沢のみっちゃん”として出てきます。魯山人のお気に入りだったことからも分かるとおりご高齢ではありますが、現在もなお現役で板場に立たれていらっしゃいます。

今は無き銀座の名店“しんとみ”で修行し、上客をつかんで店の主として収まっていたのに社用族の接待中心の心のこもらないやり取りに嫌気がさし、新橋の現在の店で小さく、安いながらサラリーマンなどを相手にした店を開いたという変わった経歴の持ち主です。美味しんぼの一巻に登場するお寿司屋さんのご主人の経歴にそっくりですので、もしかするとモデルかもしれません。

一昨年まで新富寿司と言う名前でしたが、代替わりしたのか光寿司と言う名前になって現在にいたります。新富寿司の時はいい感じに古ぼけて(失礼!)重厚感があったのですが、光寿司は内装、外装がちょっとチープになってしまって少し残念です。新富寿司の時ですら昼時には 1,000円でランチが食べられたのですが、光寿司に至ってはランチが 500円からあります(^^;。今回は光寿司として紹介します。

'01 8/24、ふと思い立って行ってみました。思えば何かが呼んだのかもしれません。いつも通り注文し、ふと横の壁を見るとこのような張り紙が。

・・・移転ですか(;_;)

なんだ、移転しちゃうんだ。港区から無くなっちゃうのは残念だなぁと思って視線を外し、思い直して見直します。・・・閉店今日じゃん(爆)。なんだか寂しいような、今日来れて良かったような不思議な感覚になりながらランチを頂きました。私は1.5人前のランチセット(900円)、同行者は普通のランチ握り(500円)です。

矢沢さんが握った寿司はネタとシャリのバランスが良いのは言うに及ばず、飯台や皿から手で取ろうが盛り込みで箸で取ろうがシャリが崩れず、それでいて口に入れた瞬間にシャリがパラリとほぐれ、口の中でネタと調和します。ここまで素晴らしい腕を持つ職人自体少ないですし、しかもこの低価格で味わえるのは非常にありがたいです。仕事もきちんとしているので穴子や煮蛤などの煮物、コハダなどの光物が美味しいのも特筆すべき点です。

一口口に入れて分かりました。このランチ、矢沢さん握ってないや(;_;)。職人さんは2〜3名要るようですので、(失礼な言い方ですが)ハズレを引いてしまったようです。こうなってくると単なる安くて美味しい店。ちょっと残念に思いながら、かと言って指名するわけにもいかず(^^;帰りました。

いったん家に帰ったものの、納得がいかないのと残念なのと悲しいのと色々感じ、しかも元ちゃんと前から行く約束をしていたのに一度も行っていないことも思い出し、元ちゃんと夜の部で再訪することにしました(笑)。元ちゃんは仕事が忙しいようでしたが、無理やり拉致です(爆)。

夜の一番高い握り(一人前2,700円)。夜でも安い(^^;。

光寿司になってから夜は行ったことが無かったのですが、行ってビックリ。・・・寿司居酒屋になってる(^^;;;;。

かなりヒイたんですが、ここまで来たんだと言う想いと今日で港区ラストだと言う想いで突撃です。まずはビールなんぞを頼んだら、お通しが10数種から選べるようになっています。元ちゃんは生湯葉、私はうるかを頼みました。

苦うるかで調子が上がってきて、刺身やらなんやらでご機嫌。いやぁ、安価な寿司居酒屋のわりにやりますな。

思い残すことが無いように、と元ちゃんは単品で、私は握り(2,700円)を注文しました。今回も一口口に入れて分かりました。矢沢さんが握ったやつだ(^^)。ばくばくと夢中で食べ、あっという間に食べ終わってしまいました。やはり光物、煮物は秀逸でした。しかしまぁ、夜の一番高い握りが2,700円ってのは(^^;。

お会計になり、板場を見たところ白髪姿のご老体が見えたのでこの機会を逃すまじとご挨拶。矢沢さんも挨拶を返してくれました。私は満足。元ちゃんもお気に召したようです。

寂しいですが、まぁ移転と言うことで良しとしましょう。港区が宝を一つ失ったことに変わりは無いですが・・・